シミを見つけた直後は、落とそうとしてすぐに触りたくなります。しかし、最初の処置によっては汚れよりも生地の傷みが目立つ状態になり、専門店でも直しにくくなることがあります。何をするかより、まず「何をしないか」を知っておくことが大切です。
素材と汚れの正体が分からないときは、擦らず、薬剤を付けず、乾いた清潔な布やティッシュで水分だけを軽く吸い取ります。
強く擦らない
擦ると汚れが繊維の奥へ入り込むだけでなく、生地表面が毛羽立つことがあります。特にシルクやレーヨン、濃色の衣類では、シミが薄くなっても擦った部分だけ白っぽく見える「スレ」が残りやすくなります。
スレは汚れではないため、洗浄だけでは元に戻りません。染色補正や表面の調整が必要になる場合があり、最初のシミより処置が複雑になります。
濡れたおしぼりで叩かない
飲食店のおしぼりには、衛生管理のための薬剤が残っていることがあります。また、水に弱い染料や、水分で輪ジミになりやすい素材もあります。身近にあるから安全とは限りません。
水分の多いシミなら、乾いた白い布やティッシュを上から当て、押さえるように吸い取ります。広げないことを優先し、こすらないようにしてください。
複数のシミ抜き剤を重ねない
一つの薬剤で変化がないからと別の薬剤を重ねると、成分同士の反応や色落ちが起こることがあります。漂白剤を含む製品は、汚れと一緒に生地の色まで変える可能性があります。
確認しておきたい三つの情報
- 何が付いた可能性があるか
- いつ付いたか
- 付いた後に何をしたか
専門店に相談するとき、この三点が分かるだけでも処置の判断材料になります。分からないものを無理に断定する必要はありません。「食事中に気付いた」「水で少し触った」など、分かる範囲を正確に伝える方が役立ちます。
家庭で処置するか迷うときの基準
洗濯表示で家庭洗濯ができ、色落ちの心配が少ない綿や化学繊維の日常着で、付いて間もない水溶性の汚れなら家庭で対処できる場合があります。一方、シルク、ウール、カシミヤ、着物、色柄物、高価な衣類は、見た目だけで安全な処置を決めにくいものです。
「落とせるか」だけでなく、「失敗したときに買い直せるか」も判断基準にしてください。大切な衣類ほど、触らずに相談することが結果的に近道になります。
