色補正業は、今から約280年前、享保14年、第114代中御門天皇の御代に、朝廷をはじめ、公家、女官の着用する礼服など染織品の御用を
承っていた御所出入りの小川茶屋、堀川茶屋、西洞院茶屋などが、染色工程上発生する汚点または難点を除去し、 納品の完全を期するために調整方を設けて処理する必要から、京都小川三条に住まいする新宮三右エ門をして専業に当たらせたのがこの業の始まりであり、当時は御手入師と呼ばれた。

これを契機として、呉服問屋、専門店等から調整の依頼が多くなり、業者も幾久屋、桔梗屋、梅鉢屋など門派を生じ、全国の主要都市に所在し、
直し物屋、落とし物屋と称した。

このような推移を経て我が国染色文化と歴史の中で磨かれた技法が代々継承されて染織界に大きく貢献してきたのであるが、近代にいたって 繊維製品の発達、染料等の進歩に伴いこれに対応して伝承されてきた技法に加え、さらに高度な学理的専門知識の必要が生じ、職業訓練校の設置、 国家技能検定の実施等技能者養成に力を注いできたのである。

この結果、業種も「染色補正」と国家から命名され多数の技能士が誕生し、業界で消費者の皆様のご要望にお応え活躍している。

一般衣服の加工途次、展示販売、管理保管中あるいは消費者の方の着用後の処理など、染色の不備または月日の経過によって自然的、人為的に 汚損の生じることは、染織品の避けることのできない宿命といわれている。

染色補正とは、これら一旦損傷した染織品の生命力を延ばすために特別な技術をほどこし、経済的価値を復元する治療医学ともいうべき 染色分野における欠くことのできない重要な技術である。

(染色補正の技術・技法より)

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