巷では、家庭での染み抜きを教える本やテレビなどもありますので、染み抜きというものが昔に比べるとグッと身近になった感じがあります。

もちろん、それ自体は悪いことではないのですが、着物の場合、染み抜きのプロでない方がご自分で染み抜きを試みた場合、とんでもない結果を招いて大事なお着物が台無しになって着られなくなってしまうことも少なくありません。

お着物を日常的に着られている方ですと、やはりご自分でお手入れしたくなるのは、衿のお化粧汚れだと思います。

ネットで検索すると、ブラシとベンジンを使って着物の衿汚れを落とす方法や動画などがたくさん出てきます。

ただ、これもお手軽なようで実際に綺麗にするのは結構技術力が必要ですし、安易にやると着物の衿の生地目を傷めたりしますので、普段着で多少のトラブルは構わないというお着物なら良いのですが、そうでない大切なお着物の場合は、面倒でもプロに任せてしまった方が結果的に良い場合も多いと思います。

もしどうしてもご自分で衿汚れを落としたいという方は、私も含めプロの染み抜き屋さんが各地のイベントで衿のお手入れの実演などをしていることがありますので、そういう場で実際にその目で見て勉強なさってからチャレンジすることをおすすめいたします。

その他、着物に付いたシミなどをご自分で水や洗剤を使って染み抜きしようと果敢に?チャレンジする方がいらっしゃいますが、これは非常に危険な行為です。勇気ではなく無謀な挑戦です。

着物の主な素材である絹(シルク)というのは、その手触りや着心地から多くの着物に使われているのですが、この絹という繊維は、水に濡れた状態で摩擦が起きると、非常に毛羽立ち(プロは生地スレといいます)が起きやすく、そうなってしまうといくらプロが頑張って修正しても、元に戻せないことが多いのです。

お金をかけたくない、お店に出すのが面倒、などの理由でご自分で染み抜きしようとした結果が、取り返しのつかないトラブルを起こしてしまって大事な着物が着られなくなるなんて、こんな悲しいことはないですよね・・・

餅は餅屋。染み抜きは、元来熟練の技術を持った職人の専売特許でした。

大事なお着物であれば、プロにお任せくださればと思います。