経営者(を自称するのは)辞めます

超零細事業ですけど、一応、法人の代表取締役社長なので、経営者です。

ボクは職人なんですが、職人として現役でバリバリ働きながら、尚且つ経営者として商いに邁進する、そういう生き方を自分の中で意識して目指してきました。

それが正しい姿だと思っていましたし、今でも間違っているとは思っていません、

同業で取引先様でもある会社の社長がいらっしゃるんですが、この方は職人でも跡継ぎでもないのに着物お手入れの業界で起業し、一代で年商数億の会社に育て上げた方で、有難いことに、その方とはとても仲良くさせていただいています。

家族も含めて誰にも話したことのないような仕事への想いや悩みなども話せるので、ボクは(勝手に)親友だと思っています。

ゼロから起業して10年ほどで年商数億の会社に育て上げるような経営者ですから、それはもう経営者としてのセンスは物凄いわけですよ。

その方とボクは肩書きだけは同じ経営者ですが、方や従業員も多く抱えて年商数億、方や小さな工房で実質独りの職人、格で言ったら月とすっぽんですよね。

でも、その方はボクを褒めてくれるんですよ。栗田さんは職人で第一線で活躍しながら経営者としても頑張っている、そんな人はなかなかいないですよ、って。

ボクは基本的にお世辞とか嫌いで、お世辞と分かるようなことを言ってくる人は逆に信用出来ないと思って深くはお付き合いしないんですが、ボクはその方を心から尊敬しているので、そういう方に褒められるとやっぱり嬉しいですよね(笑)

自分自身も経営者という自負があったし、尊敬している方にそう言われると、やっぱりボクは経営者としてもっともっと頑張らないと!って思っちゃうわけですよ。

そんなある日のこと。

インベスターZっていう漫画、皆さんご存知ですか?

有名な漫画なので知ってる方も多いと思いますが、ざっくり言うと、投資やお金に関する話の漫画です。まだ読んでいない方は、面白いのでぜひ読まれることをオススメいたします。

その中で、喫茶店を営む老夫婦が登場する話があるんですが、そのご主人が、企業と個人商店の経営方針は全く違う、という話をします。

その違いとは、

企業を経営するなら成長しなければならないが、個人商店は逆で、成長や拡大を目指すと失敗する。

という話です。

ボクはこの話を読んだ時に、自分に対して問いかけられているような、そんな衝撃を受けました。

経営者を自称して悦に入ることに意味はあるか?

そして、そのご主人は続けてこうも言います。

個人商店は、競争してはいけない、3S(スリム・シンプル・スロー)が一番。

スリムとは、極力少人数で低コストであること。

シンプルとは、扱う品数が最小限であること。

スローとは、あまり忙しくないこと。

この商いの原則は、ボクが父の跡を継ぐことを本格的に意識しだした時に、まさに理想と思っていたことでした。

実際に跡を継いで法人の代表取締役社長になってからも、その想いを持って仕事に邁進していたつもりでした。

でも、この漫画の話を読んだ時、自分が少しずつこの原則からそれつつあることに気が付いたのです。

いつの間にか、経営者という肩書きに何だか特別な人間になったような気になってしまっていたのかもしれません。

ボクは決して商いの拡大は目指してはいけない

職人ですから、自身の成長は現役である限り続けなければなりません。

ですが、商いにおいては、成長や拡大を目指せばうちのような超零細事業はすぐに行き詰まってしまう危険性が高いことを、常に心に留めておかねばならないのです。

法的には会社の社長であり経営者ですが、やはりボクは漫画に出てきた喫茶店のご主人のいう、個人商店の店主なんです。

振り返ると、自分なりに今年一年頑張って来た自負はあるんですが、ちょっと大事な部分がブレてしまっていたような気もする年の瀬です。

新年からは、気持ちも新たに自身の商いの原則を忘れずにさらに精進していく所存です。

また来年もどうぞよろしくお願いいたします。

プロフィール

栗田 裕史
栗田 裕史
1969年京都生まれ京都育ち。染色補正という裏方の業種の職人でありながら、BtoBからBtoCへ挑戦。全て自力でサイトを作り表舞台へと出る。他店で直せない品物の依頼も多く、一年を超える期間のお預かりもある、変色したり黄ばんだりしたシミも直してしまう染み抜き屋です。「物」ではなくご依頼者様の「想い」を救いたいといつも思っています。【国家認定・一級染色補正技能士】【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】【クリーニング師】
LINEで送る
Pocket