跡継ぎは親に逆らえ。先代は老いては子に従え。

ボクは二代目の跡継ぎなんですが、二年ほど前に実質的な経営権を創業者である父から奪い取り譲り受けました。

大企業であれば必ずしも後継者は血縁であるとは限らないのですが、零細から中小の会社であれば、ほとんどの場合の後継者は親から子への継承となるかと思います。

そして多くの場合、この親と子というのは父と息子になります。

で、この父と息子というのがですね、仲が良くないことも少なくない(笑)

正直言って、ボクはそうです。決して、父と仲が良いとはいえません。

だから、父に対しては反発心や反骨心がありました。今も変わらずあります。

その父への反発する気持ちが新しい形態の商いを始める原動力となり、跡継ぎでありながら起業するというスタイルの「なをし屋」創業へと繋がっていきました。

とまぁ、ボクは跡継ぎであることは受け入れつつも、先代=父と全く同じ道を歩むつもりはさらさらなかったので、早くから自分なりの事業承継計画を考えて実行に移していたのですが、世間の跡継ぎの方や先代の方を見ていると、いつになったら事業そのものと実質的な経営権を承継するのだろう?というのを多く見聞きします。

ボクも職人なんでそうだったんですけど、特に職人系の方は顕著なようです。

これは、ボクはとても不幸なことだと思うんですよね。跡継ぎにとっても先代にとっても。

跡継ぎは、親に逆らえ

世間の跡継ぎの方、つまりは息子さんって、仕事上で父親に対して逆らったり意見したり出来ない人が非常に多い(ように見えます)

それだけでなく、仕事上で親に対して服従してしまっているように見える人も多い。

これについては、まぁ分からないでもない部分はあります。

なんせ、子にとって親というのは、やはり本能的に従うべき相手という感覚を持つのは仕方がありません。

それプラス、仕事においては先輩であり師匠であり雇用主でありますので、そう簡単に逆らえないという感覚を持つのも仕方がないと言えば仕方がないと思います。

跡継ぎとして親の元に入って数年ならそれでも良いでしょう。

でも、親の言いなりになっている貴方、いまおいくつですか?

三十代? まだ若いと言えば若いですが、決して早くはないですよ。

それとも四十代? もうのんびりしてる時間はありませんよ。

まさか、五十代?? いったいこれからどうする気なんですか???

人には、働き盛りという時期があります。職種にもよるのでしょうけど、三十代~六十代半ばまでぐらいでしょうか?

働き盛りというのは、気力・体力共に充実している頃ですから、経営者という時には苦難に立ち向かわなくてはならない立場であっても頑張ることが出来る時期です。

しかし、働き盛りももう終わろうかという歳でようやく事業を引き継いで経営者になったとして、果たして経営という荒波を乗り越えていくことが出来る気力・体力はあるでしょうか?

跡を継ぐことが確定していて、仕事においてもすでに十分な経験があるのなら、一刻も早く事業を引き継いで経営者になるべきです。

そのためには、跡継ぎがもういい歳で自分も老いているのにいつまでも跡を継がせようとさせない「邪魔」な親がいるなら、喧嘩をしても力ずくでも、経営の実権を奪うべきです。

その覚悟がないのなら、跡を継ぐことは諦めて、独立起業するしかないと思います。

先代は老いては子に従え

跡継ぎがいる、現在経営者である貴方、幸せなことですよね。

跡を継がせる子がいるということは、スムーズに事業を承継するための準備は進めておられるんですよね?

まさか、自分が働けるうちはまだまだ経営者の座を譲る気はないなんてことはないですよね??

でも、世の跡継ぎがいる親を見聞きしていると、子がとっくに跡を継ぐべき年齢であるにも関わらず、事業を譲る気が全くなさそうな人が少なくないのが現実なんですよね。

うちの父親もそうでした。

跡継ぎであるボクが修行歴二十年を越えて職人として独り立ち出来るレベルになっても、年齢が四十代も半ばを過ぎても、周りの人に早く息子に事業を譲れと助言されても、全く経営者の座を降りようとはしませんでした。

跡継ぎであるこちらとしては、やはり働き盛りで気力・体力共に充実している時期の早い段階で事業を引き継いで自身の実力で事業を継続していきたいと思っていましたので、正直、一向に経営者の座を降りようとしない父親にイライラしていました。

そんなある日、ボクはちょっと大きな病気をして入院しました。

結果的には無事退院して今は元気なのですが、入院している間、ふと思ったんですよね。

このまま何も行動せずに漫然と親に従っていたら、自分は何のために跡を継いだのか分からないままに人生も終わるんじゃないだろうか、って。

そう思ったボクは、退院してすぐに父親に宣言しました。

今後は自分が事業を引き継いで経営者になることと、お金に関しても全て自分が管理すること。

もしその宣言を拒絶されたら、父親に見切りをつけて借金してでも独立起業する覚悟でした。

いつまでも事業を譲ろうとしない親であり先代である貴方、お子さんがそこまでの覚悟や悩みを持っているかもしれないということに思いが至ったことはありますか?

故事に「老いては子に従え」という格言があります。

跡継ぎがいるのであれば、いつまでも出しゃばったり我を張ったりせず、適切な時期にスムーズに事業が承継出来るようにするのが先代としての義務であると思います。

悩み続けて、大きな覚悟を持たないと行動出来なかった自分を振り返る度に、世の全ての親子での事業承継がスムーズにいくことを願ってやみません。

プロフィール

栗田 裕史
栗田 裕史
1969年京都生まれ京都育ち。染色補正という裏方の業種の職人でありながら、BtoBからBtoCへ挑戦。全て自力でサイトを作り表舞台へと出る。他店で直せない品物の依頼も多く、一年を超える期間のお預かりもある、変色したり黄ばんだりしたシミも直してしまう染み抜き屋です。「物」ではなくご依頼者様の「想い」を救いたいといつも思っています。【国家認定・一級染色補正技能士】【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】【クリーニング師】
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