染み抜き屋が教える、家庭染み抜きで絶対にしてはイケないこと

「家庭染み抜き」ってありますよね。

ボクのようなプロが行う染み抜きに対して、ご家庭で手に入る洗剤などを使って消費者自身で染み抜きを行うことです。

10年位前に「染み抜き王子」とメディアに呼ばれていた方がテレビに出たり本を出したりで、一躍脚光を浴びました。

今も知り合いの方が家庭で出来るシミ抜き方法でテレビに出たりして、根強い人気があります。

例えば着物やブランド物のお洋服であれば、何かあっても自己責任になる家庭染み抜きを行う人は少数だと思いますが、普段から着ている服やお子さんの服なんかはいちいち染み抜き屋に出したりせずに、ご家庭でお金をかけずに綺麗にしたいという気持ちは本当によく分かります。

ボクはプロの染み抜き屋ですが、家庭染み抜き自体を否定するつもりは全くありません。

正しい方法で自己責任においてされる場合は、どんどんチャレンジしていただいて良いと思います。

ただ、プロの染み抜き屋として、「これだけは絶対にしないで欲しい」と常々思っていることは伝えたいと思います。

 

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ちょっと分かりにくいかもしれませんが、画像の中央部分が黄ばんでいるのがお分かりになるでしょうか?

これ、何でこうなったか分かりますか?

一見、変色したシミに見えますが、シミが黄ばんだのではありません。

これは、どのご家庭でも使っておられるであろう物を染み抜きに使って、このような悲惨な結果になっています。

その物とは、塩素系漂白剤です。

台所で、キッチンハイターなどの名称で、殺菌や漂白を目的としてどこのご家庭でも当たり前のように使われています。

用途を見ると、まな板や台所用品などの殺菌に加えて、布巾の漂白にも使えると書いてあります。

おそらく、布巾が漂白出来るということが多くの人の勘違いを生んでいるのではないかと仮定しているのですが、塩素系漂白剤は決してシミを抜く作用があるんじゃないんです(プロは稀に染み抜きに使う場合もありますが)。

塩素系漂白剤というのは、あくまで殺菌や漂白(色を抜いて白くする)作用があるだけで、食べこぼしのシミなどを除去するわけではないんです。

その証拠に、布巾を漂白する際に、真っ白ではなく柄などの色が使われている物を漬け込んでみてください。

薄い水溶液ならあまり変化ないと思いますが、一定以上の濃度の場合、柄が薄くなったり消えたりします(^_^;)

私、こう見えても?理論派ではなく感覚派でして、正直詳しい理屈なんかは知らないのですが、塩素系漂白剤を使った繊維の生地は、脱色・変色を起こした際に、繊維そのものの変質のようなことが起きているらしく、画像のような白い衣類は黄ばんで元に戻らないし、色柄物は激しく脱色して、部分的に色修正を行っても、通常の脱色に比べて非常に色が定着しにくいです。

また、洋服の場合、シミや変色・脱色で修復不可能な物は、最終兵器として全体を黒に染めるという方法があるのですが、塩素系漂白剤で変色・脱色した物の場合、最終兵器の黒染めでさえ激しい色ムラなどが起きて上手く染まらないことが多いのです。

繰り返しますが、ご家庭で染み抜きすることは決して悪いことではありません。

ただ、染み抜きには間違っても塩素系漂白剤を使うことは絶対にやめてください。

お気に入りだったお洋服が二度と着られなくなってしまうリスクが非常に高いです。

大事なことなので、染み抜き屋としてもう一度申し上げます。

家庭染み抜きで、塩素系漂白剤は絶対に使わないでください!!!

以上、染み抜き屋からのお願いでした。

プロフィール

栗田 裕史
栗田 裕史
1969年京都生まれ京都育ち。染色補正という裏方の業種の職人でありながら、BtoBからBtoCへ挑戦。全て自力でサイトを作り表舞台へと出る。他店で直せない品物の依頼も多く、一年を超える期間のお預かりもある、変色したり黄ばんだりしたシミも直してしまう染み抜き屋です。「物」ではなくご依頼者様の「想い」を救いたいといつも思っています。【国家認定・一級染色補正技能士】【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】【クリーニング師】
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