すべての職人は、お客様の声を直接聞くべきである

先日東京で行われた、おそらく国内最大級の着物のイベント、きものサローネin日本橋2016に出展させていただきました。

その中で二回ステージに上って着物お手入れ講座というトークショーをしたのですが、最前列で熱心にメモを取ってくださる方なんかもいらして、着物ファンのお手入れへの関心の高さが伺えました。

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今回のようなイベントは、やはり物販もしくは注文を受けるタイプのお店が主であり、「物」を売らないうちのような店は、出展料や交通費・宿泊費をかけて尚且つ店を休んで参加することのどの辺りに意義があるのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実際、売り物として着物の衿汚れ落としを税込2千円にて承らせていただいていたのですが、告知が足りなかったのか、三日間の売り上げは微々たる物でした(笑)

それでも、うちのような店はまずは「知ってもらう」ことが非常に重要なんで、パンフレットを配ったりトークショーを聞いてもらうだけでもある意味宣伝になるんですよね。

ですが、実はそのような実際の売り上げなどに繋がる事以外に、このようなイベントにボクのような職人が参加する大きな意義があるんです。

それは、「一般消費者の声を直接聞くことが出来る」という点です。

全ての職人は、一般消費者の声を聞くことに大きな意味がある

ボクは10年程前に業者間取引だけの業務形態から一般消費者の方とも取り引きをする形態に変えたんですが、自分が想像だけで思い描いていたニーズと、実際の一般消費者の方のニーズなどとのズレに驚くことばかりでした。

そして、今回のようなイベントでは相談などでのやり取りはもちろんのこと、お客さんとの雑談のようなやり取りにも、固定観念を覆すようなヒントや気付きがたくさんあります。

催事とかに出る職人さんなんかは、お客さんの声を直接聞くことも多いと思うのでそれで良いと思うのですが、普通(何が普通か?とかいう不毛な議論は置いといて)の職人さんは、業者さんとのやり取りがほとんどで、一般消費者の方の声とか要望を聞くことって非常に少ないと思うんですよね。

難しい話はさておき、マーケティングにおいてお客さんのニーズとかを知らずに商いをするというのは基本的にあり得ないことなんですが、業者間取引のみの職人さんって、取引先さんのニーズは知っていても、その先のお客さんのニーズは全く知らずに仕事してるんですよね。

「自分は職人だから、取引先のニーズ以外は知らなくても問題ない」という考えの方もおられるでしょう。確かにそれも一理あると思います。

ですが、自分の経験で申しますと、業者さんのニーズだけを知っていた頃と一般のお客さんのニーズや要望も知った今では、仕事に対する取り組み方とか想いのような物が随分変わったように思います。

何より、自分の仕事が世の中の役に立っている、誰かのためになっているということを実感することは、仕事のモチベーションに大きな影響を及ぼすことだと思います。

職種によっては仕事道具を持ち込んでイベントに出展することは難しい場合もあると思いますが、身一つでお客さんと他愛のない話をするだけでも、得るもの感じるものは決して少なくないと思いますよ。

 

【刺繍半襟の染み抜き汚れ落とし】

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襦袢の半衿って、付けっぱなしの着っぱなしのことが多いので、結構汚れちゃうんですよね。

汚れの原因は、皮脂汚れや汗など。

 

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丁寧に染み抜きすれば、これぐらいは綺麗になりますよ。

プロフィール

栗田 裕史
栗田 裕史
1969年京都生まれ京都育ち。染色補正という裏方の業種の職人でありながら、BtoBからBtoCへ挑戦。全て自力でサイトを作り「なをし屋」という屋号で、表舞台へと出る。他店で直せない品物の依頼も多く、一年を超える期間のお預かりもある、変色したり黄ばんだりしたシミも直してしまう染み抜き屋です。「物」ではなくご依頼者様の「想い」を救いたいといつも思っています。【国家認定・一級染色補正技能士】【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】
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