黒留袖の柄部分の変色・黄変シミの染み抜きと色修正

よくお話していることなのですが、何かの節目というかイベントの時にしか着ないお着物、祝い着・振袖・紋付着物・黒留袖などは、その時が来るまでタンスなどにしまったままということが少なくありません。
というより、マメに陰干しなどを行っている方でなければ、そのような状態で保管している方がほとんどです。
そうなると、やはり収納場所に湿気がこもってカビが発生したりなどのトラブルが起きて、着物に大きなダメージを与えるリスクが非常に大きくなります。
黒留袖は裾周りのみに柄が配置されているのですが、なぜかその柄部分に変色したシミが出るトラブルが非常に多いです。
やはり長い間しまったままにしておくことが多いことと、着物の中側に比翼(ヒヨク)という別の白い生地が縫い付けてあるので、通気性が劣ることによって湿気による影響が出やすいのかもしれません。
よくある事例は、お子さんの結婚式に出るために久しぶりに黒留袖を出してみたら、柄にシミがあってさぁ困った!というものです。
黒留袖に限らず、柄部分の変色シミの場合、染み抜きだけではなく染み抜き後に柄を出来る限り元の状態に戻す修正が必要になりますので、場合によっては、柄足しや金彩加工を施すこともあります。
今回のお品物は、何十年か前のシミがかなり濃くなって、無理をすると生地が弱るリスクが高い状態の黒留袖でした。
無理に一気にシミを抜こうとすると、シミよりも先に生地が負けてしまって、生地が破れたり穴があいたりする可能性があるので、時間をかけてちょっとずつシミを薄くしてから修正する方法を取らせていただきました。
よく見ないと分からないぐらいに直せました。
これでご結婚式にも安心してご参列いただけると思います。
プロフィール

- 1969年京都生まれ京都育ち。染色補正という裏方の業種の職人でありながら、BtoBからBtoCへ挑戦。全て自力でサイトを作り表舞台へと出る。他店で直せない品物の依頼も多く、一年を超える期間のお預かりもある、変色したり黄ばんだりしたシミも直してしまう染み抜き屋です。「物」ではなくご依頼者様の「想い」を救いたいといつも思っています。【国家認定・一級染色補正技能士】【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】【クリーニング師】
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